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(更新:2023年9月9日)

【時事】豊田真由子議員について思うこと—世界の脅威、世界すべてが脅威—

豊田真由子氏「このハゲェ~」金切り絶叫!暴言暴行 – 社会 : 日刊スポーツ 豊田真由子氏「このハゲェ~」金切り絶叫!暴言暴行 - 社会 : 日刊スポーツ

豊田議員、園遊会でもトラブル | ロイター 豊田議員、園遊会でもトラブル | ロイター

自民党・豊田真由子衆院議員の一連の問題行動については、そのあまりに常軌を逸した異様な言動に対して憤りとか顰蹙とかいう以上に「いったい、(彼女の中の)なにがどうしてどうなってこうなった?」というような困惑を抱いた人々がこの私を含めて少なからず存在すると思う。そんな中で、以下の当議員の「中学から高校大学時代を通じての親友」なる女性の投稿記事を読んだところ、かなり得心が入ったとともに、なんともやりきれない感情がこみ上げてきてしまった。

豊田真由子さんと私の関わり 豊田真由子さんと私の関わり

そんな対照的な二人が、なぜか仲良くなったポイントは、「ダサい女でモテない人生を送るのはイヤ」「男の人に愛されたい」という所で気持ちが通じ合ったことでした。

親や学校の締め付けが厳しく、自分はもっと自由にしたい気持ちがある。でも、名門学校をやめたくないし、頭の悪い女の子たちに交じってバカばっかりやるのも納得がいかない。東大には入りたいし、将来成功するコースを進んで社会的にも認められたいけど、イイ女にもなりたいよね、そのためには学校の言う事だけ聞いてダサくしてちゃダメよね、というようなことを、よく話し合いました。

その裏には私たち二人とも、深く刻まれた「寂しさ」「劣等感」があったので、そこの所が互いにピーンと通じ合ったのでしょう。

それで「なんであんな人たちが好きなの?」と聞いた時に「お父さんが暴力をふるう、精神的にも完全に威圧するタイプ。お母さんが耐えていて、自分も辛いけれど、そういう男の人ばかり選んでしまう傾向はある」と答えてました。

あからさまに分かりやすい心身両面での暴力の負の連鎖、そして純粋培養の「良い子」にして「優等生」ならではの自意識過剰とその裏腹な主体性の希薄さとの両極から生じる動揺し分裂しまくった思考といい、今回の事例は著名人にして要職にある人物のあまりに異様かつ極端なものとはいえ、その本質は昨今そして古今東西に常にありふれている俗に言うところの「こじらせ女」そしてDVおよびパワハラ加害者の典型であり、そしてこの友人の投稿というのは、まさにそういう人種が総じて抱く思考回路とパーソナリティの実に具体的にして率直、詳細かつ明解な解説と言えるだろう。

キレると人の迷惑だし、嫌われる・・・。頭のいい私達はそんなことは分かり切っています。そんな自分にも嫌気がさしていたからこそ、「男の人にモテたい」「いい成績を取ってホメられたい」という二つの願い、そこは絶対譲れないこだわりでした。

親の支配や抑圧を恐れつつも彼らの望む「良い子」になって褒められたい、世間からのプレッシャーに苦しみつつもやはり世間からあまねく認められ注目されたい、そしてやはりひとりの女性(男性)として誰よりも真っ先に羨望され求められ愛されたい……という願望は、それぞれによってそれらの程度や比重は違うだろうが誰しもが抱いてきたはずだ。それでも大抵の人間は歳を重ねるにしたがってそれぞれに対しておのれの身の丈や器にあった形で折り合いを付け、心身ともに上手く対処していく術を身に付けていくものだが、なまじ素直で純粋な「良い子」であった場合には、それら四方八方から(そして大抵においてこれらは相矛盾しあう)の期待や願望、要求や注文などのすべてを受け入れ完璧以上に応えなければ、それができなければ自分は愛されないし救われない……などと思い込んでしまい、時にそれら二重三重の束縛や重圧が心身の処理能力を超え破綻をきたし暴走し自滅し、あるいは萎縮してそれら一切から逃れるために心身ともに引き籠もってしまう。そして、時には他者や世界までも巻き込んでともに犠牲にし崩壊していった人間というのは世代や時代に関係なく存在したのであり、たとえば男性ならば秋葉原無差別殺人の加害者でありオウム真理教の信者たちだったのだろうし、女性ならば1979年に発表された山岸凉子の最も著名な短編マンガ『天人唐草』の主人公だろう。

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ただし『天人唐草』では抑圧の果ての狂気がひたすら自身ひとりの退行と自己崩壊に向かったのに対し、この豊田議員は下手に人並み以上の能力や運などに恵まれていたためか、それが過剰な権力志向やもっぱら自分より立場の弱く劣った(と見なした)相手への攻撃性へと転じてしまった。上掲の友人の証言や例の秘書への恫喝音声および報道されているエピソードなどを聞いた限りでは、彼女が怒りを暴発させるのは自分のプライドを傷つけられたり能力や資質を否定されかねない事態に陥ったり、自分より「下」の相手からそのような態度をとられたり扱いを受けたと感じた時である。彼女の主観からみれば、自分がこれだけ懸命に親、社会、他者とくに男性、それらを含めた世界中の一切合切にとって、認められ褒められ注目され求められる「完璧な存在」を目指して、日夜休まず心身を削り磨り減らし、さまざまに努力し多大な犠牲を払ってきているつもりなのに、自分が望むようには認めても褒めても注目してもくれないどころか、自分の望むように動いてくれず働いてもくれない他人というのはことごとく無情無理解きわまりない、自分を絶えず傷つけ貶め痛めつける恐れ忌むべき加害者でしかないのだ。もちろん、件の秘書とその家族を筆頭に彼女の怒りをもろに受けた側や傍から見れば、常軌を逸した蛮行以外の何ものでもないそれは、しかし当の彼女にとってはただただ自己防衛のための捨て身の総力戦であり特攻のようなものだったのだろう。つまり、彼女の自我というのはその華麗な?キャリアに派手な装いそして強面の仮面とは裏腹に、その実いまだに親や世間の視線を恐れて不安とコンプレックスに苛まれ怯えつづける、まさに『天人唐草』の主人公・岡村響子のそれとさほど変わりのない、きわめて脆く儚く揺れ動く危ういものなのだ。

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では、このようなパーソナリティに陥ってしまった人間は、どのように自分を抑え改めていけばよいのだろうか? 最近広まりつつあるアンガーマネージメントなどは、あるていどバランスの取れた安定した生育環境で育ち、そして無事にある程度に成熟した情緒と理性を備えた、元々ある程度健全な人間にこそはじめて有効に使えるテクニックだと思う。しかし、彼ら彼女らのような人間は、そのマネージメントすべき情緒とコントロールするための理性そのものがろくに育っていないか元から欠落している。彼らは常にヘリウムガスのごとき希薄な自我と自尊心で膨れ上がり破裂寸前の風船のごとき精神をおのれ自身でも持て余しており、それに迂闊にも触れ、あるいは好き好んでいじり回そうと企む恐るべき輩にひたすら怯えつつ全身全霊で挑み続ける狂戦士であり、少なくとも当人たちは専らそのつもりなのだ。そして、彼ら彼女らの情緒と理性、そして自我そのものを抑圧し圧殺しつづけた元凶は、彼ら彼女らの親、社会、他者とくに男性、そして我々も含めた世界中の一切合切の側にも確かに存在するのである。

豊田真由子議員の報道に「あんな男の代議士いっぱいいる」 自民・河村建夫元官房長官 豊田真由子議員の報道に「あんな男の代議士いっぱいいる」 自民・河村建夫元官房長官

何はともあれ、彼女には心身の休養そして己を顧みるためのまとまった時間時期というのは必要だったろうから、とにかくも離党した以上は望むべくは議員そのものも辞めてしばらく社会そのものから一旦引いていただく、できれば一人きりでしばらくどこか静かな場所に引き籠もって、いちど家族とか親とか、世間とか社会とか他者とくに男性とかモテたいとか褒められたいとか注目されたい等々の一切合切からすべて離れて、それこそ山岸凉子の『天人唐草』などを筆頭に、親への葛藤や女性の苦悩などに切り込んでいる優れた作家たちの手による名作に少しでも多く触れてみて欲しいものだ(その程度の余裕は持てるだろう、金持ちだろうし)。それこそが本人のためであるばかりでなく、何よりも彼女の家族そして親、支援者や部下たちも含めた世界の一切合切にとっての最善最短の道である、と信じてやまない。

天人唐草ー救いようのない短編その2・一回か二回ぐらい頭がおかしくなったっていい|Ellieのブログ 天人唐草ー救いようのない短編その2・一回か二回ぐらい頭がおかしくなったっていい|Ellieのブログ

※ちなみに、皇族や芸人以外でピンクのスーツを着るような女とは極力距離を置いた方が良い、というのが我が持論の一つです。

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蛇のごとく粘着だが、羊のごとく惰弱。

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