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(更新:2023年9月9日)

【私事・私感】「普通」も「勝ち組」も糞食らえ!—女はみな清く正しく貧しく心美しく生きるべし—

以下に掲載されている東村アキコの連載マンガ『ヒモザイル』第一話に関して、案の定批判的なコメントが大量に発生している。

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ヒモザイル/東村アキコ 【紐1本目】 ヒモザイル発足!!! – モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ ヒモザイル/東村アキコ 【紐1本目】 ヒモザイル発足!!! - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ このエントリーをはてなブックマークに追加(2015/10/23:現在は記事削除)

東村アキコ氏「ヒモザイル」ってどうなの?というツイートまとめ – Togetterまとめ 東村アキコ氏「ヒモザイル」ってどうなの?というツイートまとめ - Togetterまとめ このエントリーをはてなブックマークに追加

むろんこの私も、非常に悪い意味でさまざまな視点においての尋常ならざる衝撃を受け、作者の東村アキコに対してはもちろんのこと、こんな企画を平気で具現化してしまうモーニング、そして講談社の常識や良識も心底から疑った。だいたい今現在の日本社会において、ここに描かれているような見解やら企画やらを男女逆にして表沙汰にしようものなら、作者はとうに作家生命を絶たれ、掲載誌は直ちに廃刊、出版社は倒産寸前に追い込まれるだろうに。

そもそも冒頭からして、部下なり従業員に対して本来の業務とはまったく無関係の雑事、それも自分の私的な知人にすぎない他人の子供の世話をさせておいて、別途の賃金も支給してる様子が見られない、そもそもそういう発想自体が皆無な時点ですでに作者の雇用主、社会人としてのモラルを疑うが、それでも文句一つ言わずに、それも一番パワフルで手間が掛かる時期の子供に対して快く世話をしてくれた男性アシスタント達に対して「うちの子があんな風になったらどうしよう…」とさらっと宣う友人。彼らが「あんな風」であるからこそ、そして「あんな風」な存在のおかげで、手前の大事な「うちの子」が楽しい時間を安心して過ごし、おのれは表参道のお高いカフェで優雅なひとときを(しかも無償で)手に入れることができたのだ……という事実に思い至らないほど、「圧倒的に普通」の女性、というか「セレブなママ」というのは思慮に欠けているのか? このような発想が「子を想う母親の一般的な感覚」であるというなら、この私は決して断じて「普通」ではないし、そして(一般的な)母親という人種でないこと、今後もなり得ないという事実が心底喜ばしく、そして誇りにすら思える。

そして、およそ人並みの良識と良心と羞恥心を備えた成人であり、誠実な社会人であり仕事人であるならば、こんな友人とは即行で絶縁するか全力で疎遠になろうと固く決意するところだが、この作者の思考回路はおよそこちらの思考と感性の遥か埒外にあったようで……そもそも『「ヒモ」ザイル』というネーミングからして全世界の主婦(夫)を思いっきり侮蔑しているわけだが、この醜悪極まりない計画のきっかけを提供した作者のもう一方の独身の女友達、「バリバリ働いていいお給料をもらってるかっこいい女たち」の言い草というのが、まさに「自分が稼ぎ主であるのをよいことに妻(パートナー)に家事育児を丸投げして当然と信じこんでいる旧弊なおっさん」そのものなのだ。現代日本の労働環境で出世していいお給料をもらうというのは、男女問わず、いや女というハンディがあればなおのこと、ここまで人として最低限のデリカシーと想像力、そして良心を限りなく無になるまでにすり減らさないといけないことなのか。やはり金は命より、良心よりも重いのか。もっとも、こちらの女性たちに関してはおそらく現実には人の親にだけはまずならない、なれないであろうというところに辛うじて救いがある……と考えていたところで、諸悪の根源である東村アキコがこの話の(女性の)中では最高の成功者であり、なにより一児の母である、という事実に思い至って愕然とし、暗澹たる気持ちになった。

実を言えば、この東村アキコという人の作品にはこれまであまり食指が動かないまま過ごしてきたが、最近に私が好きな映画の一つである『ダークナイト』を自作内でしつこく揶揄していたという話を耳にして、やはりこの人(の作品)とは相性が著しく悪そうだ、と確信していた。そして先日、この話を目にしたところで、この作家は私の脳内の「もし私が某国の将軍様だったら真っ先に粛正する退廃芸術家リスト」に加わったのである。

「出た、ダークナイト。女が観ても全然面白くない映画ナンバー1…」 : アメコミフィギュア速報 「出た、ダークナイト。女が観ても全然面白くない映画ナンバー1…」 : アメコミフィギュア速報 このエントリーをはてなブックマークに追加

およそ創作、表現の一線に関わる人間が、己の仕事を、己の属する世界を文字通り影で底辺で地道に支えている人々のことを「クソメン」呼ばわりし、公衆の面前でその人生や存在丸ごと勝手に出汁にして好き放題にいじくり廻し、しかも利益は自分らの懐に入れようなどと、およそ誠実な、真の創作者、表現者の所行ではない。たとえ「ネタ」の範疇であっても、いや「ネタ」であったらなおのことだ。もし、万が一これが彼女の彼らに対する彼女なりの愛情表現であるというのなら、彼女と少なくともこの私とでは、愛情なり思いやりなり、そして男性観なり(少女)漫画観なり職業観なり、そしてなにより個人の、人間の尊厳というものに対する認識が絶望的に乖離している、と断じざるを得ない。もっとも、当の男性アシスタント達の方でも、揃ってこの企画を断固として拒否し、彼女を袋だたきにした挙げ句に契約解消なり退職なりを実行しないなら、正直別の意味で男として人として完全に堕ちきった塵芥の如きモノ、と断定せざるを得ないところだが。

とにかく、もし「普通の母親」になるにも「セレブ主婦」になるにも、あるいは「高収入バリキャリ」になるにも、そして「売れっ子漫画家」になるにも、それが人間としての最低限の良心や尊厳、優しさや誠実と少なからず引き替えにしなければ手に入らず、保てない地位であるならば、私はやっぱりそんなものには拘泥しないし羨望も、まして嫉妬もしない。たとえ世間的には何ものでもない、何の価値も無い底辺の存在であっても、まずは己の「人間」としての良心と尊厳を失わず、そして他者の「人間」としての尊厳を尊重する生き方を心がけたいと思う。

 

追記:
「あたしは結婚しなくてもいいからせめて子供だけは産みたい」などと宣う女は総じて不妊になってしまえ、と思っている(シングルマザーそのものの否定や批判ではありません)。

 


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