10月 122016
 
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早いもので、アニメ『おそ松さん』放映開始から1年が経ち、舞台までがすでに上演が始まり好評のようだ。そして目下、すっかり前回からはずいぶん間が空いてしまいましたが、私の自己満足以外の何ものでもない企画「ザ・ビートルズで『おそ松さん』六つ子のイメージソングを考えてみた」の第二弾、松野家の六つ子に生まれし次男、自称・静寂と孤独を愛するノープランなクールガイ、その実は不憫の宿命の星の下に生まれしヘタレナルシストにして兄弟と全世界の女性に報われない愛を求め捧げ続ける男、そしてゴリラと幼女の頭脳と魂をともに合わせ持つオンリーワンのアーティストにして真のナチュラルボーン詩人であるところの松野カラ松編をやっていきたいと思います。全国のカラ松ガールズ&ボーイズの皆さま、お暇があればどうぞお目通しを(`・ω・´)。

※前回・おそ松編はこちら。

I Saw Her Standing There』『Twist And Shout』『I Wanna Be Your Man』

カラ松の(好みそうな)キャライメージに合いそうなビートル・ソングとなると、やはり初期のいわゆるロックンロールやR&Bなどを継承したシンプルかつ、やはりノリノリのナンバーを選びたくなる。例えばビートルズの記念すべきファースト、若干一日一発録りの実質ライブ録音で作られたアルバム『Please Please Me』のOPを飾る名曲『I Saw Her Standing There』など、ひたすらストレートに「(ダンパで出逢った)セブンティーンのあの娘にフォーリンラブだぜ」とか繰り返す詞といい、当時の邦題が『その時ハートは盗まれた』とかいう現代の感覚からするといささかこっ恥ずかしい感じなところも含めて、いかにもカラ松かなあと。

そして片や同アルバムのラストを飾る、ジョンのシャウトが伝説的な名カヴァー曲『Twist And Shout』 は英王室主催の音楽会での披露時にジョンがMCで「安い席の人は拍手して、高い席の皆さんは宝石をジャラジャラ鳴らしてください」という洒落た?レジェンド発言をかましたことでも有名だが、こういうスタンドプレー?などは、いかにもカラ松辺りが憧れてやりたがりそうではないか。もっともこの手のジョン、そしてビートルズの発言なりリアクションなりというのは、他ならぬジョンそしてビートルズ当人だからこそサマになってるものが殆どだったわけだが。

この『I Wanna Be Your Man』はライブでのリンゴ・スターの持ち曲で映画『A Hard Days Night』でも一部流れていたりするが、お聴きのとおり、まさに由緒正しい王道ストレートそのもののロケンロールなナンバーで、はっきり言って今の感覚ではベタともいえるノリがそのまんまカラ松に合いそう……というか、当人がノリノリで例のパーフェクトなファッションにやつして、おのれの脳内のカラ松ガールの目の前で熱唱している姿がどうにも思い浮かんできてしかたがない。もっとも、実像のカラ松は科白やリアクションこそ明後日の方向に過剰に装飾して作り込んではいるが大元のパーソナリティは終始受け身で控えめななわけで、いや、だからこそ、あえて「お前の彼氏になりたい(I wanna be your man)」そして「愛していると言ってくれ(Tell me that you love me, baby)」なのだ。これがF6.verの彼ならズバリ「俺の女になれ」だからね。

(こちらはご覧のとおりローリング・ストーンズのバージョン。こっちの方がより雰囲気がカラ松のイメージに合っているかもしれない、というか当人が気に入りそう)

『Bad Boy』

この「Bad Boy」はとりわけジョンがリスペクトしていたというR&Bのシンガーソングライター、ラリー・ウィリアムズのカヴァーでビートルズの中ではややマイナーな曲だが、まさに文字通りリアルに中二なお年頃の悪ガキの愉快な日常をジョンが例の凄まじくセクシーなハスキーヴォイスで熱唱しているという最高にクールガイなテイストの逸品で、かつて彼らがメジャーデビュー前にハンブルグのクラブでドラッグをキメながら超絶ハードスケジュールのドサ回りをこなしていた時分のとんがった雰囲気が濃厚に漂っている。まさに嗜好も思考もピュアな中二そのもののカラ松がおそらく心底憧れていそうなスタイル、世界観が表現し尽くされているのが一聴しただけでも十二分に感じ取っていただけると思う。さらに言えば、そのデビュー前のころの彼らのビジュアルというのがご覧の通り、カラ松愛用の「パーフェクトファッション」そのものの出で立ちであり、つまりカラ松の理想とするスタイルと世界がこの時代、つまり『おそ松くん』連載当時の「イケてる」若者のそれを根源にしていることが察せられる。

もっとも、当然ながらこの曲に唄われているようなライフスタイルというのはやはりリアルに中二ぐらいな年頃の男子が一時粋がってみせているところが微笑ましくも魅力的なわけで、当のカラ松の実態というのはいい歳こいて実家にパラサイトしている一介のヘタレでお人好しなニートなわけだが。それに、実際カラ松だったら多分リアル中二の頃でも女子の髪にガムをくっつけるとか鳥を撃ち殺して猫にやるとか犬を洗濯機に放り込むとかまではさすがにやらないだろうし(『おそ松くん』時代のキャラならちょっと分からないけど)。

(こちらはついでに。)

『No Reply』『Eleanor Rigby』

さて、ご周知の通り『おそ松さん』最大の問題回にして随一のトラウマ回である第五回の一連のエピソードについて、実はビートルズナンバーの中にも少なからずその時のカラ松当人およびその心境を彷彿とさせるようなナンバーがいくつかあったりして、たとえばこのジョン作のナンバー『No Reply』など、恋人もしくは片思いの相手にスルーされ続けて半ば闇松もといメンヘラストーカーと化した男の心境を綴るビートルズの中でも出色のトラウマソングであり、一見パワフルかつビッグなカリスマレジェンドにして終生モテ街道を闊歩していたようにみえるジョン・レノンのその実つねにコンプレックスと孤独に囚われていた心の一端が吐露されている曲の一つであるのだが、その辺りも含めてまさに、それまではそれなりに脳天気なナルシスト人生に安住していたところへ親愛なるはずのブラザーたちから揃っておでん屋のツケと梨と安眠と引き替えに無下に締め出しを食らい着の身着のままで秋の一夜に路上に放置され……というまんまカラ松事変の顛末の光景と重なるものがある。なにしろ「(彼女の)家の前に行っても返事がない、電話も無視された、居留守を使われた、部屋には灯りがついているのに、視線だって合ったはずなのに、ああもう死にたい……」と延々とやるせなさ満載で、それでも相手を恨みきれず悶々と自己完結するしか術のない男の思考ぶりも含めてカラ松的であると思う。そもそもタイトルからしてノープラン、もとい『ノー・リプライ』(つまるところスルー)だからね。

そして、アルバム『Revolver』の2曲目にしてベストアルバムの通称「赤盤」にも収められた名曲『Eleanor Rigby』。誰かの結婚式のたびに教会の床に落ちた梨、じゃなくてライスシャワーの米粒を拾い、日夜取って置きの仮面を被り窓辺で永遠に訪れるはずのない誰かを待ち続け、ひたすら夢の世界に生きそして死んでいく孤独な女、エリナー・リグビー。そして、その名前とともに誰からも忘れ去られた彼女を葬るのはこれまた孤独な男、ろくに代価も貰えないおでん、もとい誰にも聞いてもらえない説教の原稿をひとり作り続けるマッケンジー神父。しかし、この孤独な者どうしはお互いを理解し寄り添うことはなく、その道は永遠に分かたれたまま……まさに「カラ松事変」のテーマそのものではないか! ああ、あの孤独な人々をごらん(Ah, look at all the lonely people)、あの孤独な人々はどこから来て、どこに身を置くというのだろう……。

『I’ll Cry Instead』

しかし件の第5回で真に残酷でトラウマなのは『カラ松事変』ではなくてそれに引き続いた『エスパーニャンコ』のエピソードであることは、これまたご周知の通りであろう。ただおのれ一人のみを黙殺しはるか捨て去ることで完成した「感動の物語」、むしろ自分ひとりを排除することでしか成立しえなかった「完全な世界」を目の当たりにして、その外側でただ満身創痍で涙を流すしかなかったカラ松。文字通りこのナンバー、邦題『ぼくが泣く』こと『I’ll Cry Instead』な心境だったわけだ。彼らのプロモーション映画『A Hard Day’s Night』のサントラ&挿入曲集として作られた同名のアルバムにおいて、総じてアイドルソングらしいハッピーだったりスイートだったりするナンバーが多い中ではわりとストレートに鬱憤をぶちまけている失恋ソングで、しかしいくら恋人の裏切りに憤り打ちひしがれていてもやはり相手は傷つけない、みっともなく人前で泣いているところは見せたくない、そしていつか立ち直ってやる……という結局はポジティヴな結論に行き着くあたり、まあ基本は確かにクズなヘタレではあるのだが、それでもやはり常に最後にはカッコいい自分を演じ、そしておのれの矜持らしきものを優先したがるカラ松のスタンスに相通じると思えるのだ。

加えて、同アルバムのラストを飾るナンバー『I’ll Be Back』における、恋人に傷つけられ失望し決別を望みながらも「でも、また戻ってきてしまうだろう(But I’ll be back again)」と切々と歌い上げられる心情はあたかも、カラ松にとってのブラザーたちへのそれとも重なるものがあるように見える。たとえ彼が、あの世界と物語が続くかぎり何度兄弟たちに無下にスルーされ叩き出され繰り返し突き落とされ忘れ去られたとしても、彼が戻りたい場所はやはり、そんな兄弟たちと、その兄弟が身を寄せ合って暮らす古家の一室以外にはあり得ないわけだ。実のところ、この曲はジョンが5歳のときに別れた父親とメジャーデビュー後に再会した時の有りさまを元に作ったものだという。

『Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)』/『All You Need is Love』

ビートルズのアルバムの中でも特に人気の高い名盤『Rubber Soul』でも屈指の名曲でビートルソングのトップランクイン常連であり、日本公演でも披露された『Nowhere Man』、あらためて聴いてみるとそのまんまカラ松というかまさに徹頭徹尾カラ松のテーマソング、と言っても過言ではないくらいの内容である! とにかく一度その詞をご覧いただければ心ある『おそ松さん』視聴者、とりわけ全国のカラ松ガールズ&ボーイズの方々ならば十二分に納得いただけると断言できる。しかし、いくら全国の何千何万の自称・梨農家が彼に対して扶養を申し出たところで彼を真に救うことができるのは、まさにこういう言葉をストレートに真摯に語りかけ伝えてくれる、同様のコンプレックスを抱える同志でありながら傑出した先達でありカリスマでもある存在に他ならない。たとえば尾崎豊などもそんな内の一人に含まれているのだろうが、加えてつまり、ジョン・レノンこそはやはり偉大な詩人にして不朽のアーティストであるという証明のひとつである。

そんな孤独とコンプレックスと常に隣り合わせに居続けたジョン・レノンが、そんな中でも終生ビートルズでもそれ以降にも何やかんやで終始求め続け訴え続け、そして表現しつづけたテーマが端的に現れているのがこれまたビートルズの中でも超絶スタンダードなナンバー、『All You Need Is Love(愛こそすべて)』。いささか持って回った言い回しで、現実には君らはあれも無理だしこれもできない気の利いたことも言い表せない、とことん無力な存在だけども、それでも「愛」さえあればなんとかなる、というか「愛」だけがこの世にもおのれの人生にもゆいいつ必要なもので、それさえあればどんな状況でもひたすら楽しく遊ぶみたいに生きられる……というもので、これまたやはり六つ子、とりわけカラ松に素晴らしく似つかわしいメッセージソングであろう。もっとも、実のところ彼ら六つ子の世界にもっとも絶望的に欠落しているのが、この曲に体現されているような「愛」なのだが……そんな中で「静寂を孤独」なスタイルを標榜しながらその実、誰よりも「愛」をあからさまに渇望し、やり方もスタンスもポンコツではあるけれど、自分なりの世界平和や「ラブ&ピース」なるものを体現し実践を試み続けているといえるカラ松。実際、あの世界に居るかぎりどれだけ社会からも家族からも理解されずスルーされ、ぞんざいに扱われそのまた底辺の片隅に何度追いやられ続けても、つねに自分なりの「愛」を忘れず、そして「愛」さえあればたとえ自分はどうあってもどんな場所でも、おのれ一人は毎日がホーリーデイで我が人生セ・ラ・ヴィな男。それがまさしく松野カラ松なのである。

 

おまけ:『時の過ぎゆくままに』(沢田研二)

私的にどうしても、色んな意味でカラ松を連想せずにはいられなかった……いちおう(お若い方のために)念のために言っておくと、当時(1970年代)はこのファッションというかコスチュームは超絶斬新でポジティヴにインパクトがあった……そうです。

次回、チョロ松編に続く。

←前回、おそ松

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